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​奇跡の鳥ライチョウの生態

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奇跡の鳥ライチョウの生態

STAGE 1 テリトリー形成

 3月から4月の高山帯ではまだ雪が深い。冬期、オスの群れでの小さな争いの中から強いものと弱い者のランク付けがされるようだ。高山という限られたエリアの中では縄張りの数は限られており、強い雄ほど良質のテリトリーを確保することが出来る。しかし、限られたエリアの中で雄が雌より多い場合はつがいの形成もテリトリーの形成も出来ない雄が発生することになる。そうしたアブレ雄は放浪の民となってしまうわけだ。

 その為、早朝より縄張り争いが始まりだんだんとエスカレートしていく。しかし、考えようによってはこの争いのふるいわけは大事な自然界の法則でもある。  

 まだ早い時期に観察していて面白いのは、どんなに激しくテリトリーを確保する為に争っていたとしても、夕方になるとまたオス同士集まり出して群れとなるのである。これは我々からしたらちょっと不思議で面白い行動でもある。そして日没後にそれぞれのね

ぐらへと飛び立っていく。正に「戦い済んで日が暮れて」といった感じそのものであるが、翌早朝にはまたテリトリーの争いが始まるわけである。

 こういった行動は非常にパワフルであり、私自身はライチョウに対して可愛いというイメージはあまりなかった。逆に普段出会うことの無い鳥、日本アルプスの孤高の鳥といったイメージが強かった。もちろんそのイメージは今も変わらない。

​ ライチョウは神話の伝説の世界にも登場し、古くから神の鳥として崇められてきた歴史がある。そういった事柄も私には特別な鳥・強く逞しい鳥として認識するきっかけになっていたと思う。実際にもそんな弱い鳥でもなくパワフルな一面もあり、だからこそ氷河期から生き延びて来た「生きた化石」・「奇跡の鳥ライチョウ」なのである。

STAGE 2 ペアリング

Ⅰペアー行動

 

 雄と雌の絆は強く一度つがいが形成されると、5月から6月ごろにかけてペアーは離れることなく共に行動をしているところを観察することが出来る。そして、一度決まったペアーは生涯続くことになる。

 共に採餌などをしている光景は非常に仲むつましく感じるわけであるが、日中だけではなく当然夜間も行動をともにする。日中の行動は雌が主導しているが、夜間のねぐら入りとねぐら立ちは雄が主導している。

​ この時期はまだまだ残雪期であり、夜間は雪面にくぼみが出来るくらいの穴を掘り雪洞のようにして朝まで過ごす事となる。そのような場所は日中に見つける事が出来るので、夜間の過ごし方も想像することが出来る。

​ 6月頃には営巣も行われる。ハイマツ林の中に営巣刷るわけだが、それは上空のワシやタカから見つけられないように言うわけがある。しかしながらハイマツ林の縁に営巣すること多く、それは登山道のすぐ横だったりして不思議な感じもする。しかし、これは天敵に襲われそうになった場合にはすぐに逃げ出せるのである。食物連鎖の底辺に位置する生き物の生き残る知恵なのである。保護色の体は敵を欺くには効果的で、さらに天敵の目を欺くために雨や霧などの悪天候を好んで行動している。

 ライチョウを見つけるには、一年間の内のこの残雪期が一番楽である。しかし、自分にはどうしても気になるライチョウの行動があった。それは夜間の行動である。簡単な雪洞を掘ってそこで過ごした形跡があるので、それで夜間の様子はわかるのだが、どうしても自分の目で夜間のライチョウのペアーを観察したかった。もちろん撮影をしたいというのが一番なので見るだけでは面白くないと感じていた。しかし、ライチョウの夜間の行動を撮影するのは困難ばかりが現れてきて、それを数年がかりで克服しながらの撮影となったのである。しかし、その撮影で感じたものはライチョウの生の野性味であった。言葉や写真では伝えきれない野生の凄味や息づかいが五感で感じることが出来たのであった。

Ⅱテリトリーの監視

 ライチョウは基本的には、毎年同じ雄と雌がつがいを形成することになる。そしてテリトリーの場所も前年と同じ場所になる。雄によるテリトリーの監視と防衛は雌と共に行動している最中でも気を緩めることはない。しっかりとテリトリーに侵入してくる雄の存在に目を光らせているのである。前年に生まれた若い雄が縄張り争いに負けてテリトリーを持てないことが多い。そのようなオスはそれぞれの縄張りの境界付近を放浪することになり、縄張りと雌を奪い取るためにテリトリー内に侵入して争いを仕掛けてくるのである。

 しかし、放浪のあぶれ雄が簡単にテリトリーを奪い取れるものではなく、テリトリー内の雄の監視と防衛は極めて強固である。テリトリー内に侵入してくる雄を素早く発見するとすぐに鳴き声を上げて威嚇します。さらに雌の側からいち早く飛び立ち侵入雄を追い払おうと威嚇を続ける。威嚇で決着がつかない場合には双方実力行使による取っ組み合いにも発展するが、そんなことで簡単にテリトリーと雌を奪われることは無いのである。ライチョウにとって縄張り争いは命がけで戦うくらいの気迫感じてしまう。経験豊富な雄ほど強く、若い雄がたやすくテリトリーを確保出来るほど甘くもなく、完全実力社会なのである。

 侵入してきたあぶjれ雄を追い払うと素早く雌の元に戻ってくるのである。この強さと優しさが、時代を終えて命を繋いで来た力にもなっているであろう。

 私が驚いたのは、夜間の完全な暗闇の中でも縄張り争いが起こり、取っ組み合いにまで発展していたことだ。要するに暗闇でもライチョウの視力は生きており、見えているのであった。私には見えなかったが、その声や激しい羽音から争いの様子は理解出来た。

STAGE 3 育雛

Ⅰ抱卵

 ライチョウはハイマツの落ち葉などを利用した簡単な巣を作る。産卵する数にはばらつきがあるが、5卵から8卵程度を産卵する。抱卵するのは雌の役目で、その間も雄は巣の近くでしっかりとアブレ雄の侵入に警戒して監視をしている。この時期でもアブレ雄が侵入してくることはあるからだ。また抱卵中の雌と卵を守る為に外敵の接近を監視をする必要があるのだ。

 私がライチョウの巣を何度か観察していたのは30年以上前の1980年代であった。余談にはなるが、その頃の国内のライチョウは全部で3000羽程度と言われていたが今では1700羽程度に減っている。もう一つ重要なのは、ライチョウの孵化の時期は餌となる高山植物の成長に合わせて前後している。しかし、当時はおおよそ7月半ばから7月下旬頃がライチョウの孵化タイミングであった。残雪の雪解けが遅い年には孵化は8月にずれ込んだ例もあった。しかし、今は随分と温暖化が進行しているのは誰でも理解出来るほどであり、春から夏にかけての気温は高くなり、山の雪解けの速度も随分早くなっている。そのため、以前の孵化の時期と比べると1か月近くも孵化が早くなってしまっている。

 温暖化によりライチョウの食物である高山植物とライチョウが近い将来絶滅する危険があるということは、10年以上も前から言われていが、肌で感じる温暖化進行の事実と雛の誕生がひと月近くも早くなっている現実に、とてつもなく大きな不安を感じてしまう。

抱卵​から孵化までの期間は3週間であり、その間は雌は懸命に卵を温めている。しかし、抱卵は雌だけの役目であるために、雌が採餌の為に巣を離れる時だけは卵は置き去りとなってしまう。その為にメスが高山植物をついばむ速度は速くなり、巣を離れてからわずか数分で巣に戻り、再び抱卵を始めるのである。

 

Ⅱ育雛

 ​3週間の抱卵を終えて誕生した雛は雌親と共に採餌へと巣を離れるが、その後は一切巣に戻ることは無い。また、巣の側で抱卵中の雌と卵を守る為に巣の側で懸命に監視していた雄は、雛の誕生と共にどこかに去って行ってしまう。つまり雛の顔を見ることなく、誕生後の世話もすることなく雄の親は単独行動に切り替えてしまうのである。その切り替えの早さには驚きもあるが、単独行動をすることなく誕生後の雛や雌と共に行動することも稀にあるようだ。自分も一度そのような行動をしている雄を見たことがる。足早にその家族は目の前から去って行ってしまったが、とても微笑ましく感じたものだった。

 ライチョウのファンは最近増えてきており、以前にも増して詳しく観察されてきた鳥だと思う。それは繁殖の研究と保護活動が活発になりそれは報道などにより広く周知されるようなったからだと思う。繁殖の研究は複数の動物園が担っており、動物園で公開される事でライチョウの知名度を上げるきっかけになったと思う。それまでは登山者以外はほとんど見ることが出来ない鳥であったため、動物園の功績は非常に大きい。

 しかし、高山帯に生息する鳥には変わりはなく人の目に触れる機会は他の鳥よりも少ないのは事実。そういった珍しい鳥だけにもしかしたらまだ知られていない生態もあるのかもしれない。私が親子連れのライチョウを精力的に観察と撮影をしていた時に非常に珍しい行動を見たことがあるからです。私が撮影したのは雛同士の「疑似交尾行動」と言えるものでした。繁殖能力の無い雛同士による交尾を行うような行動だったのでした。当時、唯一ライチョウの飼育による研究を行っていた大町山岳博物館に問い合わせて見たところ、これまで確認されていない行動だとわかりました。私はいつもライチョウに不思議な魅力や神秘性を感じていましたが、そのような雛の交尾行動を見たことで、私の中でのライチョウの謎と神秘性は高まるばかりとなりました。

 ただ、雛は誰が見ても可愛いものであり、いつもはライチョウの逞しさや強さに惹かれている自分でも、親子の光景にはいつも目を細めてしまいます。

STAGE 4 秋、初冬

 私がライチョウを撮り出した頃は、9月も下旬になれば雛も成長して親鳥と見分けがつかないくらいに成長していたものであるが、最近は産卵時期が早まることで孵化も早まり、9月の下旬まで待たなくとも雛は親と見分けは付かないくらいに成長する。ライチョウの孵化の時期の早まりが後の成長の時期が全て早まるのである。それは、止まらない地球温暖化を実感させられてやるせない気持ちになる。

​ さて、雛が成長しても簡単に親と区別することは容易である。それは雛の鳴き声が成長してもひよこのように「ピヨピヨ」と鳴くからである。しかし、岩場では姿を見つける事が非情に困難な時期がある。羽根の色と模様が完全に岩と同化してしまい見えないのである。当然、冬期の真白の保護色は見つけにくくもなるが、個人的には岩と同化したした羽根の保護色ほど見事なものは無いと感じている。しかし、秋の深まりとともに白い羽根が混ざり出すとやや見つけやすいのである。

 夏の頃は親子で採餌の為に激しく動き回っていたものだが、秋になると随分と行動は落ち着いてくる。その時期に私はよく岩場や岩陰でくつろぐ親子を見たことがあるが、天敵の目を欺くには岩陰が最適なのであろう。ある日、私は岩陰に潜り込みずっと動かない雛を見たことがる。この時期恐れるのはきっと上空のワシやタカであり、そうした岩陰のライチョウの心境を同じように感じて見たくなった。幸いにも私の存在には一切動じない雰囲気出たので、近づいてみたものの人の大きさではライチョウの隠れる岩の隙間に入ることは出来なかった。そこで私はカメラを片手で持ってそのまま腕を岩の隙間の中に入れてみたのである。雛は、幸いにもカメラにも驚きを見せず、全く動じる様子はなかったのでそのままシャッターを切ってみた。確かにここならば上空からはわからないような安心感があった。

 肉食動物は襲うための強さを発揮するが、私がライチョウの撮影を通して深く関わることで実感したのは、襲われる側の弱さではなく、保護色を活用し、敵の目を欺き、隠れて逃れる素晴らしさだった。これはある意味、守る為の武器のようなものである。

STAGE 5 厳冬期の生態

​ 厳冬期のライチョウの羽根は保護色で純白に衣替えして神聖な姿に変わる。ライチョウが自身の強さを最大限に発揮する季節でもあり、本来の神の鳥の姿に戻ったかのような神々しさを感じる。この季節に姿を現すのはライチョウしかいない。天敵は消え去り、荒れ狂う激しいブリザードにも耐えうる逞しさは想像以上である。雪と氷の世界の中で攻める装備を持ち合わせており、ライチョウの持つ鋭い爪は氷結した雪面でもしっかりつかむことが出来る。それは登山装備のアイゼンと同じであり、指先まで覆われた毛によって雪上での体の沈み込みを防いでいるのはスノーシューの機能そのもので、雪上歩行に極めて有効な装備となる。さらに鋭いくちばしは氷をも砕くことが出来ることから登山装備のピッケルのようなものだ。こんな装備と能力と兼ね備えた生き物が他にいるだろうか。

​ 雛を連れ、天敵を恐れて隠れて生活していたあの姿からは全く別の生き物のような強さがここにはある。厳冬期の山の上では無敵の存在であり正に銀嶺の覇者の姿となり神の化身は生きているのである。

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